マルチビタミン

自己投影力53万の夢女による感想もろもろ。

美波はるこ氏の漫画を読んでほしい


はじめに

最近、ティーンズラブ?レディコミ?を読むのにハマって出費がエラいことになってしまったので、感想記事でも書かなきゃ損した気分になるということで筆を執りました。
コミックシーモアとかそれ系のお試し読み→おもしろいやつを購入→作家買いKindle Unlimitedに加入して読み漁る(イマココ)
作家買いをはじめた辺りから(出費の)雲行きが怪しくなり、現在Unlimited対象の書籍以外を買わない縛りプレイ中です。ただし前々から買って読んでた漫画の新刊は除く。ブルーピリオドの最新刊おもしろかったので読んでください。

今回はわたしがほとんどの作品を買いあさっている美波はるこ氏を紹介します。


ティーンズラブとレディコミの違いについて

まずそもそもの話なんだけど、ティーンズラブとかレディコミってジャンルは一体なんなのか?この二つは同じなのか?
気になったのでググることにします。

ティーンズラブとは、女性を対象としたジャンルで、ティーン向けに見える人物設定でありながら、成人向けのような具体的かつ直接的な性的表現が物語の中で展開される創作物を指す。(Wikipediaより)

ティーンズラブに関しては意外とシンプルでした。
とどのつまりエロあり少女漫画(最近はなろうっぽいのもある)ということでしょうか。こんなこと言ったら怒る人いそうだけど。
ボーイズラブが男どうしの恋愛ならティーンズラブティーンどうしの恋愛なんだとばかり思っていたので、20代が恋愛してるやつはTLじゃないと思ってましたが、この定義からするとそうでもないようです。オフィスラブ系でもティーンズラブ。そういうことですね。

一方レディコミはというと、ティーンズラブに比べると歴史がそこそこ長く、Wikipediaによれば「レディコミ」と「レディースコミック」はどうやら別物らしい……??そんなばかな話があるのか???ポケモンポケットモンスターが別物みたいな……?(ちょっとなに言ってるかわかんない顔)
Wikipediaの話を総合するとこうです。

20代以上の女性対象の漫画としてレディースコミック(性描写は控えめ)誕生→いろんな出版社がレディースコミック雑誌を創刊→他社と差別化するために直接的な性描写を取り入れる雑誌が登場→男性向け雑誌に「やーいエロ雑誌!」と煽られる→控えめな性描写に舵を切った雑誌とむしろエロに特化した雑誌に分かれる

エロに特化した方を「レディコミ」と呼び、控えめな方を「レディースコミック」と呼び差別化している、ということのようです。
なおレディコミは性描写が過激であり、作中で女性が強姦される、緊縛されるなどマゾヒスティックな立場におかれることが多いともされており、やはりティーンズラブとは違うジャンルといえそうです。
最後はハッピーエンドじゃないと満足できないわたしがハマっているのはティーンズラブでしょう。
はい、スッキリしましたね。


ティーンズラブの魅力について

なんでティーンズラブにハマっているかというと、「絶対にうまくいくことがわかっているから」です
なんかもうこういう歳になってくると、うじうじぐるぐるしんどい話って読みたくなくて、時代劇みたいな1時間弱で絶対に悪いやつが成敗されるってわかってるしなんなら俳優で黒幕がわかる、くらいの方が圧倒的に娯楽として優秀になってきているんですね。悲しいことではありますが。
少女漫画のお試し読みにハマった時期もあったんですが、ものによっては本当にイライラしたし、続きを買おうと思える作品に出会えることがかなり少なかったので、結局ティーンズラブに落ち着きました。あとティーンズラブは好みの絵柄の作家さんがたいへん多い。なろうのコミカライズ系列の絵柄が好きなので、やはり少女漫画ではなくティーンズラブなのだなと思います。余談ですが少女漫画だと「まいりました、先輩」「花野井くんの恋の病」が好きです。「俺物語!!」もいつかちゃんと読みたい。これでわたしの好みを察してほしい。
ティーンズラブはアホエロでも両片思いでもわりとなんでも好きですが、浮気ネタだけはド地雷なので稀にぶち当たる主人公の相手に彼女がいるor妻がいる作品はたとえ最終的に別れるとしても嫌悪感が拭えない、そんな感じです。まあティーンズラブにはあんまりないですが(主人公の勝手な勘違いであるケースがほとんど)。

ティーンズラブ漫画において不満なのは分冊版の存在だけなんですけど、これは正直Kindleアプリの使い勝手の問題なのでティーンズラブ自体に罪はないんですよね。
Kindleアプリって読み終わったあと次のシリーズにいくのに本閉じて次のを選択しないといけないじゃないですか。普通の単行本であれば表紙の絵が違うのですんなり次にいけるんですが、分冊版って16巻(単行本カウントでいうところの16話)分すべて表紙の絵が同じだったりするので、今読み終わったのと同じ巻を開いたり飛ばしてしまったりと不便極まりない。しかもものによっては1話~10話はシリーズものとしてまとまってるけど11話以降から急にシリーズからはじき出されたりもする……。
Kindleの使い勝手がよくなりさえすれば売り上げ向上に寄与するのではなかろうか。分冊版に手を出さない人ってそういう使い勝手の悪さがいやなのもあるんじゃないかなあ。わたしは分冊版て割高なのが気になってたけど、作家買いするようになって「そんなの関係ねえ」と思うようになって、でもすんなり次の話にいけないのは常にイライラしている。YouTuberにPR料金払う方が利益出そうだからやらないんだろうけどさ~~~~~。
あと紙媒体だと単行本全3巻なのにKindleだと分冊版全16話とかもやめてほしい。紙の単行本出すのと電子書籍の単行本出すのでは工程も違うだろうし無理もないなあという気持ちもあるんですけど、ティーンズラブは紙より電子書籍のほうが売れるんと違うか?????ソースがどっかで見たツイートの記憶だからアレなんですけど、電子書籍の売り上げって女性向けエロがかなり強いって聞いたけどどうなんでしょう。わたしは人を家にあげられなくなるので紙で買うつもり一切ないんすけどね……。

●ここから読まなくてもいい
限りなくどうでもいい純粋な疑問なんですけど、少女漫画における主人公の相手の男の子ってなんて呼んだらいいんですか?ヒーローですか?
ヒーローってどうしても少年漫画(まさに僕のヒーローアカデミア)的なヒーローを思い浮かべがちなので、少年漫画でいう主人公に対応するヒロイン、的な単語がほしいところです。
サブヒロインという呼称はあれど、サブヒーローという呼称はなんていうかあまりにもアレじゃないですか?ヒーローはあくまでもヒーローであってメインもサブもねえだろというか……。ヒロインって呼称には舞台装置的意味合いが含まれてる(と思う)ので、メインとかサブとかって役割によって呼び分けることに違和感はないけど、ヒーローって英雄だし、英雄は唯一無二じゃないですか(ヒロアカにおけるヒーローは職業なのでこの限りではない)。そうすると舞台装置的な意味合いでヒロインに対応する言葉って主人公だと思うんですよ。
つまりヒロインという呼称を女に限定しなければ、少女漫画においては主人公(女)とヒロイン(男)という呼び分けでファイナルアンサーなのか……?いやでも、男しか出てこない作品において「こいつまじでヒロインみたいな扱いされてんな」みたいなこともあるし、少女漫画の主人公がヒロインなんだからヒロインという属性は少女漫画の男には適用しづらいものがありますよね。
一体どうしたらいいんだ……?
●ここまで


結論が出なかったところで、わたしが読み漁りまくったティーンズラブの中で、作家買いにまで至ってしまった美波はるこ氏をご紹介します。

 

美波はるこ氏について

もうねえ、なんかこの人はどこにでもいてすごいと思う。
美波はるこ作家買いしまくったあとにアンソロ系に手を出したんだけど、どのアンソロにもだいたいいる。
単行本になってない分冊版のみの話に限ってめちゃくちゃおもしろかったりするので、この人の限っては分冊版を積極的に買うべきだと思います。

絵柄はよく言えばシンプル、悪く言えば地味といったところでしょうか。女性にしろ男性にしろ描き分けが微妙なので、単体で出されても歩さんと藤堂さんくらいしかわからんと思う。でもティーンズラブって別にそれでいいし、個性的なキャラデザ求めてる読者は美波はるこは向いてない。たぶん江口尋氏とかがいいと思う(江口氏もたいへんよい作家さんなのでいつか記事書きたいです)。
美波はるこが描く恋愛は本当によくも悪くも大人の恋であって、体当たりで相手に向かっていけないもどかしさとか、わかりづらいデレをどう嗅ぎ分けていくかみたいなところがあるんですが、非常に好き嫌いが分かれるのかなあという気もしています。最終的には男の手のひらのうえでした、みたいな展開が非常に多いうえ、それがあまりフィクション的ではないというか、リアルに恋の駆け引きとして手のひらで転がされているような作風なので、語弊をおそれずいうのであればバチクソに腹が立つ漫画なんですよ。相手の男がマジでなにを考えているのかがわからん。わからんがティーンズラブだからまあ主人公のことが好きなんだろうという。相手が主人公のことを好きだろうと思える根拠が「ティーンズラブ漫画だから」しかないことがたびたびある。ちゃんと駆け引きできとんのかそれ?
しかも男性側の心理描写が一切ないことが多いから、マジでなにを考えとるのかがわからん(2回目)
でも、ふとしたときの気遣いとか、態度とか、言葉の端々に「もしかして…?」と思わせるものがあるので美波はるこはやめられないんですよ。バチバチに感情移入して作品読んじゃう人には特におすすめです。わたしのことです。
逆に男性側の心理を考えるのも楽しくて、2周目はだいたいそうやって読みます。

 

エロには抵抗あるなーって方は、まず月刊エレガンスイブで連載中の「酒と恋には酔って然るべき」を読みましょう。先般実写ドラマが放送された「凪のお暇」と同じ雑誌で連載しており、両作品によるコラボ漫画が公開されたこともあります。
日本酒好きの主人公が思わせぶりな態度をとる職場の後輩(男)と、趣味のあう年上の男と、日本酒のあいだで揺れる話です(日本酒の雑学披露漫画でもあり、お酒好きの方にもおすすめです。読むとお酒が飲みたくなります)。
この思わせぶりな態度をとる職場の後輩、今泉と申しますが、こいつがマジで美波はるこが描く男を凝縮した非常にナイスなむかつく男で、
・主人公に対して好意的に思ったことをマジで、ほんとに口に出さない
・でも憎まれ口は積極的に叩く
・必要に迫ってどうしようもないとき以外大事なことを言わない
っていう、女の地雷をどこまでも踏み抜いていくスタイルです。ちなみに上記の要素は本命にしか発動しない傾向があり、本命以外、つまり主人公以外の女とはわりとホイホイ仲良くなります。
美波はるこ作品に出てくる男ってほんとにむかつくんすよね。作品によってはガチギレしてしまってあんまり好きじゃないやつなんかもあるんですけど、でもなんか読んじゃうんですよね。不思議でしかたない。
まあ今泉とくっつくんだろうなあと思いつつもう一人の年上男伊達さんがめちゃくちゃ好きなので伊達さんにもがんばってほしい。この伊達さん、美波はるこ作品にはめずらしいタイプの素直で好感の持てる人なんですけど、最近だんだん雲行きが怪しくなってきたのがまあそうだよね美波はるこだよねって感じでよいスルメです。あとこの漫画のせいで日本酒飲むようになりました。

人に勧めるならエロのない「酒と恋には酔って然るべき」が圧倒的ですが、エロありなら以下のへんがおすすめです。

 

 「幼なじみは横綱サマ!」
大人になってから努力によって細身をキープするようになった元ぽっちゃり(オブラート)の主人公が、過去をよく知る幼なじみと再会してしまう話です。読むたびイラつくし、なんか冷静になって考えるとこいつら絶対また繰り返すだろ……みたいな仲直りのしかたしてるので、好き嫌いが分かれそうだなと思います。
喧嘩のすえ主人公が吐き出した本音に対して幼なじみが「んん?ん~~~~?」って言ったあと謝るシーンがあるんですけど、絶対わかってなさそうな感じがえげつないほどリアルで何度見ても笑いますねここ。身に覚えがある人多そう。
「自分が思ってるほど相手は気にしてない」ってのはもちろんわかってるけど、「でもコンプレックスでイヤ」という気持ちもめちゃくちゃにわかるので、わかり哲也したい人向け。最後はハッピーです。これ2巻で終わりなのかしら。
何度も読み返してると、男側もいろいろ考えていることがわかるシーンがちょくちょくあって、魅力を半減させることがわかっていても一度男視点が読みたい漫画です。

 

 「お見合い結婚 恋愛なしってアリですか?」
30歳前半の主人公が30代後半の「結婚しても自分のペースを崩したくない」という男とお見合い結婚する話。
この男が歩さんといいまして、美波はるこにしてはめずらしくめちゃくちゃ自己主張激しい人なんですが、まあ美波はるこが描く男がそんな簡単な男のわけがないんですよ。出産したばかりの助手(旦那は単身赴任中)の家に出入りし、なにかあれば夜中でもすっ飛んでいって赤ん坊の面倒を見、主人公は置き去りになる結婚生活でした。自分のペースを崩したくないってこういうことか~~~~~!!とまあ文字で書くと大したことないんだけど読むとクソイラつくんだよねこれが美波はるこマジックなんだ。
結局本件は解決するんですけど、この解決も冷静に見ると「歩さんそれなんかズレてねえか????」と思う節があるのでそういうことです。7話以降で歩さんのズレが大爆発する。美波はるこのそういうところよ~~~~~。
主人公の後輩の男の子が非常にかわいく、この子も美波はるこにしてはめずらしく好意だだもれで、主人公がいなくなったあと「はあ~~~~~好き!」って言ってるオタクみたいな子でわたしはめちゃくちゃ好きです。ティーンズラブってなんか当て馬ポジションの子好きになりがち。

 

上記2作品は単行本がございますのでぜひそちらをお買い求めください。

美波はるこは長編が映える作家だと思っているので、短編だとあんまりビビビってくるものがないんですが、「愛撫上等、柄シャツ王子」はたいへんよかったです。前後編の2話構成です。
短編だと美波はるこ特有の「なに考えてるかわかんなさ」をフォローする尺があんまりないんだと思うんですよね。最後の最後で好きって言ってもらえるけど、ほんまかそれ?????がどうしてもつきまとう終わり方をするので、もちろん美波はるこ慣れしてたらまあそうやろなって感じなんですが。わたしは長編派です。


美波はるこの真骨頂は「なに考えてんのかわかんない男」だと思ってるんですけど、一方で男側の心理描写が最強にかわいい「やわらかな愛でできている」って作品があって、これは美波はるこ特有の「なに考えてんのかわかんない男」がいまいち刺さらなかった人におすすめです。
いろんな事情があって自分の顔大好きになってしまったプレイボーイ(最大限オブラートに包んだ表現)なお寺の息子と、男慣れしてない神社の娘が恋愛する話なんですけど、この寺の息子が最強にかわいいので全人類に読んでほしい。プレイボーイ×おぼこ娘って王道中の王道だし、あんまり嫌いな人いないと思うので、はじめて読むならこれもいいんじゃないかって思いますね。ただしKindleだと分冊版しかありません。紙のコミックスだと全3巻。
あとこの作品に女の子みたいな顔したショタがたびたび出てくるんですが、これも最高にかわいいのでショタ好きにもおすすめです。女の子みたいな顔してるわりに行動が大人びてて、クリスマスに成人女性を家に招待するのに「今年はオレ家にひとりなんだ。好きな子と過ごしたいって家ひとりじめさせてもらうの。来てくれる?ハイこれ招待状」って招待状くれるんですよ。王子様ムーブ最高か?
このショタがメインのスピンオフも存在するんですが、ちゃんと恋愛するのは10年後なのでショタの成長がド地雷各位は「やわらかな愛でできている」と「麗しボーイときらきらガール」だけ読むのをおすすめします。成長してもいい人は「高鳴り、そして近づいていく」も読みましょう。残念ながらぜんぶ分冊版しかありません。
ちなみにこのシリーズ、「背徳のセブン☆セクシー」という作品から派生しているので、すべてサブタイトルに「背徳のセブン☆セクシー」が入るんですけど、美波はるこってたまにすごいタイトルつけてくるんすよね。ごくまれにまったく話と関係ないエロ本ぽいタイトルついてることもあっておもしろいです。
「背徳のセブン☆セクシー」自体は、題材が七福神参りでそれぞれの神様のところにイケメンがいるのでこういうタイトルになったんだと思いますが、もうちょっとなんかなかったのか?とも思います。好きですけど。

 

 

ティーンズラブ漫画は悪く言えばワンパターンなんですが、そのせいか作家の色が露骨に出るような気がしますね。
これを機にぜひ美波はるこを読んでください。
次回があるとしたら江口尋氏か本崎月子氏あたりで書きたいです。

 

 

おわり